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スパイ映画みたいなこと  NO 3412

 35年以上も前のことだが、ある友人の次男が大学を卒業して入社した会社を半年ぐらいで退職してしまい、相談されたことがあった。

 退職をした理由を聞いて驚くことになったが、そんなことが実際に行われているとは想像もしなかったことであった。

 彼が入社した会社はある物品を訪問販売する業種だったが、3ヵ月の研修期間を経て実際にセールスに出掛けたらしいが、彼ら全員の胸のポケットに盗聴器みたいな機材を持たされ、お客さんとのやり取りを近くに停めた車の中で上司が聞いており、車に戻った瞬間に指導されるというものだったが、聴かれている事実を想像するだけで言葉がうまくつながらず、自分の自信があった部分が全く発揮不可能な環境から逃げたくなったという事情があった。

 彼によると、その機材は小さな代物だったらしいが、FM電波を利用するシステムで、FM放送の入る車のラジオなら50メートル程度まで拾えるそうで、もしも関係ない車が自動で周波数を選択可能な場合、その内容を聞かれてしまう問題も秘められていたのである。

 実は、その1年後にそんな体験を実際にしたのだから驚くことになった。いつもFM放送を聞いていたところから、ある場所で停まって自動選局のボタンを押したら、変な周波数の所で停止しておかしな物音が聞こえて来る。そこは交流のあった人達が勤務している会社で、偶然に社外に出て来た知人を呼び止めて車内で聴かせたら、「これ、**と**だ!」と驚き、すぐに会社に戻って確認したら、それは休憩する部屋のソファーに仕掛けられていたことが判明。仕掛けた人物は彼らを統括する対馬の上司で、部下達がどんな会話をしているかが目的だったそうである。

 その車は初代のクラウン・ロイヤルサルーンだったが、自動で選局出来る画期的なラジオシステムだったことが理解出来るだろうし、そんな時代からスパイ映画みたいな盗聴器の存在があった事実に驚かれるだろう。

 あるセールスマンが来社した際、ふと違和感を抱いた行動があった。それは、持参していたアタッシュケースみたいなバッグの上部の角にあったボタンみたいなものを押したからだが、その行動に疑問を感じて確認してみると、バッグの中には録音機が収納されているそうで、客の発言を残すことが目的と知って衝撃を受けた。

 カメラも信じられないほど小さくなって高性能の時代、どこで盗撮されるか分からない怖さがあるが、知人の警察関係者が銭湯での盗撮事件のことを語っていたのが印象に残っている。

 盗撮行為をしていたのは女湯に入っていた女性で、携帯電話がその犯行に使われており、内縁関係にある男性と販売を目論んでいた事件であった。

私が利用している銭湯に不思議な若者がいた。彼はいつも湯船の中に入ってもケロリンの桶を浮かべており、中を覗くとビニール袋に入った携帯電話があり、片時もそれから目を離さないので異様な感じ。推測するに携帯電話メール依存症かもしれないが、最近は見掛けないので転居でもしたのかなと思っている。

 結びになるが、ちょっとした知恵の紹介を。最近では存在しない想像するFM電波を利用した盗聴器だが、その発見に有効なのはラジカセの活用で、FM電波の周波数を変更させながら、マイクが拾う音のハウリングを利用する方法で、もしも周波数が一致すれば間違いなくハウリングが起きるので設置されている場所も見つけられるだろう。

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