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匠達の世界  NO 3331

 全国に点在する葬儀のプロ達が集まった。それぞれの現状や仕事に対する熱い思いを聞かせて貰ったが、彼らがそれぞれにオリジナルなサービス発想を実践しており、予想以上に進化してくれていた事実に嬉しくなった。

 北海道から九州までメンバーが存在するが、ややこしい業者がいっぱい出現している中で、彼らが葬儀を担当したお客様が幸運だったと確信している。

 ある同業者の新聞広告が話題になった。社長が笑顔で登場され、弊社は東証2部に上場しましたと見出しがあり、日本で一番ありがとうと言われる葬儀社を目指してという言葉もあった。

 この経営者は過去のテレビ番組で遺族のことを「消費者」と発言して物議を醸した人物として有名だが、「日本一有り難うを」と「上場」が矛盾してしまう問題もある。消費者いや「ご遺族」より株主を優先させる責務が生まれるからだが、葬儀がビジネスだとはっきり断言される人物なので、それらは満面の笑みを浮かべられる広告の写真が顕著に物語っているように感じた。

 冒頭のプロ達は、その正反対の人達ばかりである。「悲しみ」という問題を真剣に学び、中にはグリーフケアに積極的に取り組んでいるメンバーもいるし、研修会の際には一睡もせずに朝方まで「葬儀」をテーマに語り明かすのだから私のような高齢には応えてしまう。

 振り返ればパソコンを持参しての研修会もあった。も10年以上も前のことだが、画像処理について講義を受けた貴重な体験だったし、ホテルの会場を借りて実際に祭壇を設営して無宗教形式について研修会を行ったこともあったが、その模様の記録を依頼した映像会社の人が、「こんな世界が!」と感嘆されていたことも懐かしいところである。

 若いメンバー達が企画した研修会では、私が亡くなったシナリオで映像を創作していたこともあったが、敢えて音楽と文字だけの世界となっていたことが妙に新鮮だったので印象に残っている。

「家族葬が流行する」「お通夜と葬儀の参列者数が逆転する」「葬儀に迎えられるお寺様の人数が激減し、やがて一人になる可能性が高い」「ホテルでの偲ぶ会やお別れの会が増える」

 そんな論議を重ねていたのは15年以上も前の話だが、全てが現実となったことからメンバー達の予見が当たったことになる。

 ホテルの「偲ぶ会」「お別れの会」については、もうひとつ奥深い分析もしていた。ホテルが得意とする「おもてなし」と「飲食」だけを売り物にすると、やがてする意味がないことに気付き、近い将来に確実に減少するという予想だったが、それらも見事に当て嵌まったようで、体験された方々のお声に多くなっている事実も理解したいものである。

 弊社がこの世界で注目を浴び、参列の方々から「これが社葬だ!」と評価されたのは「第一部」「と「第二部」の分離で、無宗教形式であっても「告別式」と「献花式」を採り入れていたからであった。

 また、たとえ「無宗教形式」であっても、単なる「会」で進めてしまうのは故人に対して失礼という考えを基本に、「式」の重要性を踏まえて「司会」から「司式」の発想転換に気付き、そこで創作したオリジナルなトークやコメントは全国的に広まるようになった。

「会場空間を儀式空間として神変させる」「引導に代わる雰囲気で故人に語り掛ける」「悲嘆に暮れられるご遺族に慰めの言葉を掛ける」「命に関するテーマで語り掛ける」「参列者に説教的に言葉を掛ける」なんて発想で言葉を編集したもので、相当のアナウンス技術がなければ不可能なものだった。

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