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お念仏の道を訪ねて  NO 3256

 朝から見事な枝垂れ桜の径を歩き、この春を謳歌するようなひとときを過ごし、それから古くは港町として栄えた室津へ向かい、法難に遭われた法然上人にゆかり深い「浄運寺」に参詣した。

 道が細いところからバスを降りて歩くことを余儀なくされたが、ご法事を終えられたご住職がわざわざバスの駐車した所まで迎えに来てくださったので恐縮。お夏、清十郎の清十郎の実家跡などを通ってお寺の本堂へ入らせていただいた。

 平家物語の歴史から始まったご住職のお話を興味深く拝聴し、法然上人75歳当時の木像を拝観してお念仏。そのお寺に纏わる古い時代のお話は初めて知ったことも多くて勉強になった。

室津は参勤交代が盛んな時代に6つも本陣が存在したという事実に驚いたが、栄えた歴史の中、狭い地域に16のお寺が寄進されていたそうで、道中に様々な宗派のお寺が存在していた。

 本堂の中にびっくりするほど大きな涅槃絵図が掲げられてあり、「虫干し」と仰っていたが、その中に描かれた枝に引っ掛かってしまった巾着袋の金細工が見事で、天上からお釈迦様のお母様が薬の入った袋を届けようとされたものが、残念にも引っ掛かってしまった状況を伝承する情景で、お釈迦様みたいな方でもどうにもならないことがあるという物語を表現していると教えられたことを思い出した。

 恥ずかしい話だが、何より重要だった筈の常用している薬を忘れてしまったので大変だった。特に影響が出たのは就寝する前に服用する薬がなかったこと。お蔭で一睡もせずに朝を迎えた。

 忘れることになった要因は、昨日早朝に発生した大きな地震。早く出なければ交通機関に問題があっては大変だと早く家を出たことなのだが、今日も昨日と同じマスターズの中継を観ていた。

 今回宿泊したホテルは、温泉はなく、大浴場もないことから残念だったが、フロント横にあるコーナーに様々な入浴剤が置かれてあり、自由に自室のバスルームで楽しむことが売り物の一つになっていた。

 部屋にアロまキャンドルが置かれ、その横にライターと砂時計が置かれていたのはユニークな発想だが、ライターのセットは必要かもしれないが、何か危険な心配の種になるパーセンテージもあり、ちょっと考えるべきではと感じた。

 朝、部屋を出て朝食会場に真向かうと、廊下からフロアなどすべてに水の流れる音が聞こえる。せせらぎの中に時折鳥の啼き声も聞こえる。山の中のホテルらしい演出だったが、ちょっとボリュームが高かったように思える。

 昨夜、夕食時にギターとピアノの弾き語りをしてくれた若い男性のライブがあったが、彼の作詞作曲のオリジナル曲に、同行者の一人がタイトルと歌詞におかしな部分があると指摘され、周囲の人達は妙に納得してしまう問題だった。

「名もない花」というような内容だが、全ての花に学術的に名称が与えられており、名もない花は存在しないというお考えだった。

 単なる詩だと考えればそれだけだが、これは意外と鋭いご指摘だと興味を抱き、昼食時にそのご高説を拝聴してますます納得に至った。