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クローン?  NO 3326

 これまでの人生の中で忘れられないことがあった。過去にご仏縁があった女性司会者から教えられた衝撃的な存在についてで、私が司会で発していた一言一句を繰り返して真似をするようになり、私の「クローン」を目指しているという男性司会者の存在だった。

 そんなことを聞いても俄かに信じられなかったが、それから数か月後に1本のカセットテープが届き、それは私のイメージで喋ったものが録音されたものだった。

 聞いてみると声、抑揚などトーンまでそっくりな感じ。ご本人の並々ならぬ努力の成果の賜物だろうが、自分にクローンが出現したということには驚きを禁じ得なかった。

 その後、ある人物を経てアポがあり来社されることになったが、その日を迎えるまでにネットで私の名前で検索したら彼のページを発見。そこには彼がなぜ私のクローンを目指すことになったかという経緯も書かれていた。

 当時大手葬儀社に勤務していた彼が、車で走行中に社葬が行われている案内看板が目に留まり、担当する弊社名に興味を抱かれて立ち寄る行動になったそうで、スピーカーから流れる私の司会の内容やトーンに衝撃を受けられたようで、ビートルズの音楽を初めて聞いた時のようだったとも書かれていた。

 それまで我が大阪の葬儀の司会は様々な個性的な流儀があり、「絶叫型」「駅ホーム案内型」「泣き節」などが主流だったが、潮流になろうとしていたのが派遣司会を専門とする人達に伝承される文語調的なトークで、そんな中にアナウンサ―イメージの私がアウトサイダーみたいに出て来たのだから注目を浴びていた事実もあった。

 彼は、その後にフリーの司会者として活躍、作家の「司馬遼太郎さん」や「河島英五さん」の葬儀の司会を担当されていたが、弊社に来社された際にアドバイスをしたのは、長年よく耐えて学んだねということだったが、昔に収録していたテープを参考にしていたところから、約20年の月日の流れがあり、その間に私自身も進化したよと音響を使って体験して貰うことになり、彼にも喋ってもらったら、「こんな音響システムで喋ったら気持ちがいいですね」と言われたことが印象に残っている。

 その後、彼は葬儀の司会に関する研究会を主宰。男女問わずに司会者の皆さんの技術向上に対して門戸を開けているが、そこに参加された方の数人が来社されて指導を行ったこともあるので懐かしいところだ。

「幸せ列車」のコラムに「司馬遼太郎さん」ことが書かれていた。管理人さんの先輩に当たるそうだが、司馬さんと深い交流のあった作家の「寺内大吉さん」はお寺様であり、一緒にテレビ出演したことがあり、本番前の打合せが終わってからお話しさせていただいたこともはっきりと憶えている。