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「たい」ばかり  NO 3292

「独り言」のコラムで体重測定から反省の数値を書いたが、トトロ体型からの脱出を真剣に取り組まなければならないようだ。

「幸せ列車」のコラムでは国際線飛行機の子供料金について書いたが、国内線とは異なる規定があり、満2歳から大人の料金の75%が必要だし、2歳までも膝の上にあっても大人料金の10%が課せられるので大変であり、それは早割料金ではなく正規料金に対するパーセンテージなのでびっくりである。

 かつて娘ファミリーがアメリカに在住していた。現地で二人目の孫として誕生したのが過日に地球儀を贈った小学生だが、アメリカでの在住を終えて帰国したのは私が大手術を受けて入院中の時だった。

 確かその時に満二歳に達していなかった筈で、私が無料と思い込んでいた帰国便の料金で、きっちりと支払ったと耳にして驚いたことを憶えている。

 その大手術の際に体験した不思議なことを再度書いておこう。朝から手術室に入り、医師やスタッフの皆さんに「よろしくお願いします」と挨拶をしてから自分で手術台に上がったので皆さんが驚かれていたが、すぐに麻酔を受けて知らない世界に突入。次に目が醒めたのは集中治療室へ向かう廊下だった。

 この集中治療室での24時間が大変だった。その日に手術を受けた患者は16人。その人達が同室で過ごすのだが、何処かで点滴が終わったりすると警告音が鳴り響き、それを少ない人数の看護師さんが対応するのだから間に合わずに鳴りっ放し。麻酔から覚めた現象かもしれないが、異常な咽喉の渇きは二度と体験したくないものだった。

 後で学んだことだが「集中治療室症候群」という精神的に病むケースも少なくないようで、<さもありなん>と実感していたが、私の世話を担当した二人の看護師さんが不思議だった。

「どうして君が?」なんて幻覚なのだろうか、一人は元社員であり、もう一人は元社員の女性司会者だったからだ。容姿だけではなく言葉遣いに喋り方までそのまま。二人が看護師さんになったなんて絶対に信じられないことだったが、それは今でもはっきりと思い出す不思議な出来事だった。

 幻覚はそれだけではなかった。集中治療室での24時間を過ごし、自分の部屋に戻ってから二日間、真っ白な筈の天井や壁に鳳凰の柄が現れ、そんな話をしたら付き添っていた家族から訝られた。

 大手術を受けたのは腹部だが、何度も書いた「たい」という欲望の思いは重要で、孫に会いたいから耐えようと思えたし、成長を見届けたい思いから手術を受ける気になったことも事実。「食べたい」「行きたい」「見たい」「会いたい」の「たい」は誰にも許される大切な欲望である。