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体験から  NO 3557 

小学生が大麻を吸引し、自宅を捜索したら兄の高校生の部屋から大麻草が発見されたというニュースがあって衝撃を受けた。

この数日の間に警察官が飲酒運転で問題を起こしたという報道もあり、この国はどうなって来ているのだろうかと憂うこの頃だが、命の教育の重要性を改めて考えることになった。

事故や事件の被害者のお通夜や葬儀の光景は誰もが逃げ出したくなる環境で、我々葬儀社も担当したくないのは当然であるが、飲酒運転を取り締まる警察官が飲酒運転をする行動は理解出来ないことである。

冒頭の小学生の大麻事件に関して思い出したことがある。30年以上前のことだが忘れられない葬儀があった。それは、当時の子供達の間で流行して社会問題になっていたシンナー吸引で亡くなってしまった中学生の葬儀で、お母さんが若くして亡くなって父親と生活していた寂しさが原因と知ったが、お父さんの嘆かれる姿は憔悴されて誰も近付くことが出来ない状態だった。

その葬儀で火葬場に随行して待合室で2時間を過ごし、やがてお父さんと親戚の方々とお骨揚げを行ったが、そこで目にしたことこそ恐ろしい現実で、高齢者でも残る筈のお骨の大半がボロボロになっていた事実であった。

精神的な部分を崩壊させるだけではなく、体内のこんなところまで影響が及んでいた事実に衝撃を受けたが、それについてご遺族に話すことはしなかった。

数千回の「お骨揚げ」に随行した体験があるが、その中学生ほどお骨が少なかったことはなく、薬物については知らないが、シンナー遊びの恐ろしさを強烈に学んだ体験でもあった。

薬物に関する専門医師が子供達の世界に及んでいる事実に「低年齢で体験するほど依存症になる率が高い」と解説していたが、友人や周囲の人達から誘われたら「死にたくないからやらない」と断る勇気と知恵を知っておきたいし、この「お骨」の事実も広く知って欲しい問題だと考えている。

子供達の葬儀を担当することは避けたいのは当たり前でも、事故や先天的な疾病ということもあって体験したことも少なくなかったが、そこでアドバイスをしたことがあるので紹介しておこう。

お父さんやお母さんのご不幸でお通夜や葬儀に子供の同級生達が先生に引率されて参列さす場合があるが、返礼品である供養の品を後日に文房具で学校に届けることも多いが、ある小学生の葬儀で「漢字の解説本」を同級生に配られたことがあった。 

その子供さんは先天的な持病があってお気の毒な日を迎えられた悲しい出来事だったが、その本が同級生それぞれにプレゼントされ、それを繙く度に「あの時に」と思い出すことにつながり、何よりの供養になるような気がした。