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業界の変化  NO 3535

NHKの番組「プロフェッショナル」でホテルの「コンシェルジュ」の世界で知られる女性を採り上げていた。

宿泊客の大半が外国人で言葉の対応能力も求められるが、何よりこれまでの体験による情報収集に培われた引き出しの多さが重要だろうし、密着取材の中で起きた様々な出来事に対応される仕事振りは見応えのあるものだった。

その日の夕方の便でアメリカへ帰国する女性がパスポートを紛失し、朝から観光に訪れた先に連絡して協力を要請したら、忘れ物として保管されていたとの連絡があって解決することになったが、日本人が外国に出掛けてホテルのコンシェルジュの窓口で情報入手や何かの依頼をすることがどれほどあるかと考えるとかなり少ないような気がする。

言葉が通じない問題は深刻で、コンシェルジュが片言の日本語しか話せず、単語を並べて英語でやりとりした体験が何度かあるが、早朝の便で帰国するのにタクシーを予約していても「本当に予約されているのだろうか」という不安が生じ、当日の朝のチェックアウトを済ませ、玄関に停まっているタクシーの目にして荷物をトランクに積み込んで出発した時の安堵感は体験された人には理解出来るだろう。

団体での行動が余り好きでなく、ツアーを避けて個人旅行ばかりを体験して来たこれまでだが、言葉の通じない国で不便を強いられたことも旅の思い出の一つである。

コンシェルジュという言葉は、随分前から我が葬儀業界にも登場し、深いご仏縁縁に結ばれる人物の名刺にも肩書として記載されているが、喪主さんをはじめとされるご遺族の方々に着き添って、悲しみの儀式が全て終えられるまでフォローすることから歓迎されている。

最近はホテルを会場とする「偲ぶ会」や「お別れの会」が増え、大規模寺院を拝借する社葬や本葬儀が少なくなったが、それが多かった時代には「葬儀委員長さん担当」や「喪主様担当」の専用スタッフで対応していたこともあり、お喜びいただいていたものだった。

「葬儀は究極のサービス業」「司会は究極のサービスサービス業」「葬祭業はホテルマン以上の資質が求められる仕事」というような持論を業界向けの講演で訴えて来た歴史があるが、ホテル業界が「偲ぶ会」や「お別れの会」に積極的に取り組むようになって、「最もホスピタリティを必要とされるのは悲しみのお客様である」と訴えて来たホテル業界向けの講演も理解されたようで、全国各地の多くのホテルから招聘されたことも歴史して忘れられない。

ネット社会の到来で、ややこしい「葬儀会社紹介ビジネス」が増えている。何処でも紹介しますと謳っているが、依頼を受けてから業者を探すケースが多く、真面な業者なら契約を締結していないというのが世の常で、どんな業者が選択されるかはご理解いただけるだろう。

「幾ら紹介料をくれます?」なんて電話があれば弊社は断るが、断る業者が正常な葬儀社である。ややこしい業者を選択されてしまって後悔されるのは、依頼をされたご遺族にも少しの責任があるという考え方も大切で、車を購入される際に様々な情報を入手されるだろうし、葬儀は1回だけの重要な儀式と考えたら当然そうありたいと願っている。

大手物流グループも紹介ビジネスを展開して派手なCMが目立っているが、業者から高額な紹介手数料を課しているのでその分はお客様に影響するのは当たり前の話である。

ホテルや旅館の予約サービスにあっても同じことが起きており、これまでは大手旅行会社という「リアル・エージェント」が主流だったのに、ネット社会に登場した「サイバー・エージェント」の影響は大きく、20%から25%の手数料がホテルや旅館に課されているところから、各ホテルや旅館のHPを開けたら「公式」という文字が目に留まり、HPから直接予約をして欲しいようなことが表記されていることが多い。