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法の順守  NO 3532

何処の葬儀専門式場に行っても音楽が流れている。式次第の進行にあっても様々なCDが使用され、派遣司会者それぞれが自身で録音したコピーを流していることが多い。

市販されている楽曲を「個人」が楽しむ目的で録音することは問題ないが、「故人」を送る式場で流すために録音することは違法で、それは遺族が持ち込まれて来た「故人が生前に愛されていた楽曲のCDやテープ」でも原則的に法に抵触することになる。

静岡県のライブハウスで起きた訴訟が話題を呼んでいる。著作権協会への未払い問題から提訴され、地方裁判所が原告の訴えを認めて執行官を送り、楽器や音響機器に使用禁止の措置を進めたといのだからびっくりである。

過去に区民ホールでチャリティーコンサートが行われた時の体験だが、プロデュースと司会を担当するところから法に抵触しないというプロの哲学から、演奏曲が決定してから著作権協会に足を運び、定められた使用料を支払って来たが、外国の映画音楽だったのでかなり高額だったと記憶している。

主催が社会奉仕団体で収益は全てを寄贈する趣旨で行ったが、入場料が設定されていると料金がアップするし、会場の広さや収容人数によっても設定金額が異なって来ることも知っておきたい。

当日のリハーサルでのこと。演奏者の皆さんにその事実を伝えたら私らしいと揶揄されたが、法に触れたりお客様から指摘されることはプロの恥であるというのが私の信念。そんな思いを話したら偉く賛同してくれたことが印象に残っている。

弊社の本館と西館の式場にはジャスラックと契約している書類が掲示されている。故人がお好きだったCDを流して欲しいということも多くなっているので不可欠だと考えているが、果たしてそんな契約をしている同業者がどれほど存在しているだろうか。間違いなく数社しかないと想像している。

ホテルや結婚式場でもこの問題がある筈だが、ホテル業界は神経を遣っているようである。

ジャスラックと契約したのは随分前のことだが、しっかりしていると感じたのは契約の自動継続に関することで、毎年請求書が送付され、使用料を支払うと思っていたらさにあらず、銀行の自動引き落としという条件だったからだ。

式場の広さ、月間件数、参列者の予定人数などで使用料が異なっているが、物事をグローバルに考えることは大切で、「大は小を兼ねる」という言葉を実行している。