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ふと思い出したこと  NO 3413

 友人から「有馬温泉」へ行かないかと誘われたが、その日は予定が重なっており残念だが断ることになった。

 利用するホテルの名称を聞いて懐かしくなった。そのホテルで、ある団体の総会が開催され、記念講演としてマラソンで知られる「君原氏」と私の二人が講師として招聘されたことがあったからで、その中で愚書「お葬式と春夏秋冬」の中でも書いた「霊柩車の中から」の話が印象に残ったという感想をいただき、忘れられない思い出となっている。

 ご出棺をして斎場へ向かう霊柩車の助手席に座っていると、人の社会の異なる一面を垣間見ることになり、そこには人々と社会の縮図のようにも思える光景が感じられるのである。

 信号待ちから交差点で停まると、横断歩道を渡る前の女性が気付き、手にしていた買い物かごを足下に置かれ、静かに手を合わせる姿は美しいものだが、一方に何も感じずに通り過ぎる人もいるのである。

 細い道を数台連ねて走行することもあるが、宮型の霊柩車に気付かれて道を譲ってくれる人もあれば、一切無視して割り込んで来る車もあるのが世の中。

 後方に続くハイヤーやマイクロバスが信号待ちで遅れた場合、どこかで停車して待つこともあるが、駐車場や出来るだけ塀のある場所を選択する必要があり、一般的なお家の玄関前に停車すると抵抗感を抱かれるので気を付けなければならない。

 ある大きな家の玄関を外して塀の所で停車したら、玄関前で掃除をしていた中年の女性が家の中に入られ、すぐに戻られたと思ったら、土俵の力士のように塩らしき物を撒かれた光景を目撃したこともあり、その時は1号車であるハイヤーも一緒だったので、車内におられた喪主さんやお寺様がどのように思われただろうかと心配だった。

「どなたかお亡くなりになられたのね。私もいつかその日を迎えることになることを教えられました。どうぞ安らかに」

 そんな思いで手を合わされる女性の姿は最高に美しいが、塩を撒く姿は残念だが美しくなかったのは言うまでもない事実である。

 多くのお葬式が重なっているようである。それぞれの故人のことを思い浮かべて手を合わせ、スタッフにミスがないよう、そして安全運転を祈念する。