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風物詩  NO 3376

 我が大阪では地蔵盆の時期を迎え、あちこちに点在する「お地蔵さん」が提灯などで飾り付けされている光景を目にする。

 我が家のすぐ近くにも「お地蔵さん」が存在し、地域の人達が盛大に行事を進められている。

 お釈迦様が入滅されてから「56億7千万年後」にこの世に降臨され、民衆を救うと言われているのが「弥勒菩薩」だが、その時までこの世の様子を見守ってくださるのが「地蔵菩薩」という説もあり、別に「閻魔大王」に代わってこの世を見られているという説も何かの書物で読んだことがある。

 葬儀という仕事に従事しているところから、初めて子供を授かった際、100軒ぐらいのお地蔵さんにお供えを持参して回ったこともあったし、初孫が誕生した際にもそれに近い行動をした。

 そんな行動で想定外のことがあった。仕事柄で顔を知られていることもあり、あちこちから「供養ですから」とお返しの菓子などが届けられ、まるで菓子店が開けるぐらいになったのだからびっくりだった。

 缶ジュースやサイダーなどもあったが、これだったら「お返し不要です」と伝えるべきだったと後悔した。

 そんな夏の風物詩もあちこちで寂しい話も出ているのも事実。世話をされる方々がご高齢になり、誰がお守りを継いでくれるかという後継者問題が表面化しており、そんな相談を受けることが多くなっているからだ。

 それぞれの「お地蔵さん」には「北向け地蔵尊」とか「光高光玉地蔵尊」というように名称が付けられ「奉賛会」という形式でバックアップをされているが、それがどんな目的で誰が設置されたかまで遡るのは簡単ではなく、権利者の存在が不明というケースもあるので大変のようだ。

 幼い子供を亡くしたことから自宅の塀の一部に建立された人もおられたし、初孫の誕生と言う嬉しさに地域に建立された人もおられたが、それから数十年も経過するとそんな事情を知る人も少なくなり、後継者問題は想像以上に深刻である。

 もう30年ほど前のことだが、お供えのお金を積み立てされ、それでパイプテントを購入されていたのだが、皆さんが高齢になられてテントを立てる作業が大変になったと言われ、リース会社を紹介して欲しいと頼まれた出来事が次々に起きたことを憶えている。

「恒例」が「高齢」問題で悩んでいる現実が寂しいが、これらは今後一層深刻になるように思われる。

 猛暑日の続く我が大阪に久し振りの雨。窓を叩く雨音と共に雷鳴が聞こえる。一昨日だったか、島根や鳥取で1時間に100ミリを超す豪雨があったと報じられていた。

 北陸で大雨、突風、落雷による火災の発生というニュースもあったが、あちこちで渇水問題が表面化している一方で、こんな大雨の地域があるのだから自然の我儘とは皮肉ではないか。